長年、街の水道医として数千軒のトイレを診てきましたが、詰まりやすい家には驚くほど共通した「ある習慣」が存在します。その筆頭に挙げられるのが、間違った「節水」への執着です。昨今の水道料金の値上がりにより、タンクの中に水を入れたペットボトルを沈めたり、常にレバーの「小」だけで流したりする方が増えていますが、これはトイレにとって最も有害な行為の一つです。メーカーが設計した大洗浄の水量は、便器内の汚物を単に消し去るためだけのものではありません。それは、汚物を家の外の公共下水道まで、数メートル、時には十数メートルにおよぶ横引きの配管内を押し流し続けるためのエネルギー量なのです。小洗浄で無理に固形物を流そうとすると、便器内からは消えても、配管の途中で止まってしまいます。これを繰り返すと、配管内は常に汚物が腐敗し、トイレットペーパーが乾燥してこびりつく「詰まりの温床」へと変貌します。プロが教える最強の対策は、実は非常にシンプルです。「トイレットペーパーを使ったなら、たとえ少量であっても必ず『大』で流す」こと。これに勝る対策はありません。また、トイレが詰まりやすい家のもう一つの特徴は、トイレットペーパーの使いすぎです。特に、最近の柔らかく吸水性の高い高級ペーパーは、水を含むと想像以上に容積が膨らみます。一度に使う量が十五センチメートル以上の長さで十回分を超えるような場合は、面倒でも二回に分けて流すべきです。さらに、意外な原因として多いのが「トイレに置かれた小物」です。タンクの上の棚にある芳香剤のキャップや、スマホ、子供の小さなおもちゃなどが、不意に便器の中に落ち、それに気づかず流してしまうケースです。これらは水に溶けないため、一度サイフォン管に引っかかると、そこがゴミを収集するダムとなってしまいます。対策としては、便器の周辺には流れる恐れのあるものを置かない、あるいは落ちないように固定する環境作りが必要です。修理に伺う際、私たちはただ詰まりを直すだけでなく、その家のライフスタイルに潜む「詰まりの火種」を指摘するようにしています。トイレの健康を守るのは、高価なリフォームではなく、日々のちょっとした意識の持ち方一つなのです。
水道修理のプロが語るトイレが詰まりやすい家に共通する習慣